EBM- A New Approach to Teaching the Practice of Medicine (JAMA, 1992)

EBMが初めて記されたとされる資料は、1991年にACP Journal Clubへ掲載された" Evidence-based medicine" (Guyatt GH, 1991)とされています.

この資料は、A4・1枚のとても短い文章(editorial)で、この意図をより理解するためには、翌1992年にEvidence-Based Medicine Working GroupがJAMAに発表した "Evidence-Based Medicine - A New Approach to Teaching the Practice of Medicine" が参考になります.


JAMAで発表された記事では、次のような内容が記されています.
・Medical practiceの新しいパラダイム:非系統的な経験と直感に基づく観察に基づく従来の医療から、再現可能な偏りのない方法で観察された臨床研究の統合へ
・病態生理や疾患のメカニズムを理解することは重要であるが、系統的な観察(測定)が欠如している場合には注意が必要

・患者の関心(心配事)に焦点をあてて、その疑問に答えられる文献を探す

・EBMの誤解の例「EBMは臨床経験や臨床の直感を無視している」「基本的な検査や病理学的な理解は、EBMには役に立たない」「EBMはphysical examinationといった標準的な臨床トレーニングの側面を無視している」

・EBM教育のバリアの例:「人は素早く簡単な答えを求めがちであるが、批判的吟味は時間と努力が必要」、また文献の吟味の基準を考えるうえでは「ランダム化されていなければ、それは無駄であり、価値ある情報を提供しない」といったnihilismを助長するような形で提供されるべきではない


臨床疫学を起源にもつEBMは、”Evidence-based”という性質から、しばしばエビデンスに焦点がいきがちで、とくに他の類似する近接領域の概念(例えば research utilization)よりも、「文献の批判的吟味」のステップの重要性を説いているように思います.JAMA(1992)のペーパーをあらためて確認し、EBMは臨床疫学が基盤だから文献の批判的吟味を重要視しているのではなく、人を対象とした研究の不確実性や研究の限界を熟知しているからこそ、エビデンスとされる研究の知見を鵜呑みにするのではなく、十分に吟味し、その利点と限界を理解したうえで、エビデンスとして統合しよう― そういった背景があるのではないかと感じるペーパーでした.


References.

★EBMの源流をたどるうえでは、この2つの資料を一読されることをおススメします!

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