高度実践看護師のEBPにおける文献の批判的吟味とその学習に関連する要因(2023.01)

EBPの5つのステップの中でも、しばしば、最も行われている頻度が低いという自己評価されているのがstep3の文献の批判的吟味です.文献の批判的吟味に求められる研究の知識・スキルは、EBPの阻害要因の1つとして知られています.
そのような中、EBPをリードする役割が期待されている専門看護師の皆さまを対象としたインタビューで、EBPにおける文献の批判的吟味とその学習に関連する要因についてまとめた結果が、公開されました (Tomotaki et al, 2023).


この研究では、EBPにおける文献の批判的吟味とその学習に関連する要因として、次の4つが抽出されました.

・Individual beliefs and attitude
・Learning status

・Organizational readiness

・Availability of research evidence.


「論文を読む」という行為やそのための学習は、ときに、個人の熱意、やる気に依存しがちであるように思います.この研究では、実際にEBPに取り組む専門看護師の皆様が、組織の中で専門看護師・認定看護師の方々や、スタッフナース、多職種と連携しながら、文献を読み、実践に研究の知見を統合していること、それと同時に、知識スキルアップに努めていることが明らかとなりました.


また、大学院修了後も自己研鑽に努めながら、より良いケアのために論文を活用していることがわかります.文献の批判的吟味は、EBPの一要素にしかすぎませんが、実践の根拠となる論文の批判的吟味に必要な知識やスキルは、修士課程の間だけで習得するというよりも、生涯学習として学びを積み重ねていくことが求められているようにも思います.


専門看護師の資格を取得されたあとも、その方々の個人の努力だけに頼るのではなく、学び続けられる体制の充実に、微力ながら努めていきたいと思います.


*この研究は、科研(JSPS-JP-16H07464)の一環で行われました.


Reference.

Tomotaki A, Sakai I, Fukahori H, Tsuda Y, Okumura-Hiroshige A. Factors Affecting the Critical Appraisal of Research Articles in Evidence-Based Practices by Advanced Practice Nurses: A Descriptive Qualitative Study. Nursing Open. 2023. https://doi.org/10.1002/nop2.1628 (Epub ahead of print) 


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