EBPでは,実践の疑問や課題に対してエビデンスとなる文献を「探す」というプロセスがあり,EBPを支える人材として,図書司書によるEBP支援があります.
この記事では,日本で図書司書によるEBP支援について述べられている文献を紹介します.
酒井 由紀子.EBMからEBL/EBLIPへ(前編) 医学図書館員によるEvidence-Based Practiceの支援.情報管理.2008;51(1):2-10.https://doi.org/10.1241/johokanri.51.2
- 医学図書館員がEBPの支援にどのように関わってきているのか,北米を中心とした1990年代からの流れ,日本での取り組みについて概説されています.
- 以下、本文より引用:
” 臨床医に近いところで活動する病院図書室では,もともと診療にコミットしたサービスをしていることは想像に難くない。しかし,「EBMが業務に定着したとはいえない」と聖路加国際病院の河合富士美は記している。日本の医学図書館員のEBMにかかわる活動はむしろ,図書館の業務としてはエビデンスを「つたえる」ためのリソースの提供と,「つかう」ための教育活動が中心になっている。”
酒井 由紀子.EBMからEBL/EBLIPへ(後編) 医学図書館員によるEvidence-Based Practiceの実践.情報管理.2008;51(2):105-115.https://doi.org/10.1241/johokanri.51.105
- 前述の酒井(2008)による概説の後編.
- 図書館員自身の活動の "Evidence-based Librarianship(EBL)/Evidence-based Library and Information Practice" について,海外の動向も含めて概説されています.
天野 いづみ, 望月 雅子.新臨床研修制度における病院図書室の役割 図書室担当者と研修医へのアンケート調査からの分析.静岡赤十字病院研究報.2005;25(1):6-11.https://redcross.repo.nii.ac.jp/records/17887
- 対象:臨床研修指定病院157病院
- アンケートの内容:研修医に提供する情報源や担当者によるオリエンテーションの実施状況,研修医の要望するデータベース等
- 回答:図書室担当者93名, 研修医383名
- 結果の例
▸「UpToDate」,「今日の診療」の導入はそれぞれ22.9%,19.7%
▸図書室担当者によるオリエンテーションの実施:58%
津谷喜一郎, 金子善博 (2003):医学図書館員に対するEBM関連教育効果の評価,厚生労働科学研究医療技術評価総合研究事業 EBMを支える人材の系統的な養成に関する調査研究, 241-252.https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/7582
- 研究報告書の一部に掲載されている医学図書館員に対して行われたEBM教育の報告
- 概要:「EBMを支えるリサーチライブラリアン養成のための研究」班によるワークショップの開催
- WSに参加した医学図書館員(WS参加群)50名とその同僚(コントロール群)54名の調査結果
- 参加者の回答率:58%
- 結果の例:ワークショップ参加者はEBMに関連する日常業務,教育活動への関与,EBMに関連する知識の正確性は参加者が非参加者に比べて高かった
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