[大学院教育] ノルウェーにおける多職種EBP教育 (2016)

EBPは専門職として学び続けるものですが、効果的なEBP教育はまだ確立されておらず、とくに大学院のEBP教育の研究はまだ発展途上にあります.Holeら(Hole GO, et al., 2016)は、ノルウェーの大学院修士課程でEBP教育を提供し、修了1年後に、インタビューを行った結果 "Educating change agents: a qualitative descriptive study of graduates of a Master's program in evidence-based practice" を発表しました.対象者の多くに看護師が含まれています.


この研究の目的は、大学院修士課程の修了生が「EBPの原則を適用する能力をどのように認識しているのか」「臨床でEBPのプロセスを実行できるようになるために必要な条件はどのようなものか」を明らかにすることでした.

フォーカスグループインタビューによる半構造化面接の結果から、次のようなことがわかりました.

・はじめは個人の能力に焦点を当てていたが、分析過程で、組織的な要因が重要であることがわかった.
・個人の要因には、"self-efficacy", "tools", "analytic competence"があり、これらの要因が互いに絡まって"ability to be change agents"を構成していた.
・自施設におけるEBP適用の可能性に関連する要因には、"leadership","EBPに対する認識", "EBP network"があり、これらが"ability to be a learning organization"を構成していた

・これらのEBPの全体的な条件に、"readiness for change"が必要

・対象者は、知識スキルに対する自己評価は高かったが、これらの能力を活用するには組織的な要因が不可欠

・個人的な要因と組織的な要因は、別々の状況としてみなすことはできず、相互に依存していた


大学院を修了して臨床現場に戻る専門職は、EBPをリードする人材として活躍することが期待されていますが、EBPは、個人プレーではなくチームプレーが欠かせません.

どのような立場で修士に進学し、どのような立場で修了後に臨床に戻るのか、組織のEBPの受け入れ状況はどうか、EBPの推進を個人の努力に依存するのではなく、組織としてもEBPに取り組む文化を育てていくことの必要性が、この研究結果からもあらためて示されたといえるでしょう.


Reference.

Hole GO, et al. Educating change agents: a qualitative descriptive study of graduates of a Master's program in evidence-based practice. BMC Med Educ. 2016;16:71. doi: 10.1186/s12909-016-0597-1.  

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