Barriers ScaleのSR|The BARRIERS scale -- the barriers to research utilization scale: A SR (2010)

EBP推進に関する研究は、現在Implementation Scienceへと移ってきていますが、EBPの阻害・促進要因の特定・分析は今も続いている調査の1つです.歴史的に古いのは、Research Utilizationの阻害を測る"the BARRIERS scale"(Funk SG, et al. 1991)を使った研究で、この系統的レビューが2010年に発表されています(Kajermo KN, et al. 2010).


この系統的レビューでは、次のような内容がまとめられています.

・Barriers Scaleの各ドメイン・項目ごとに、どれが「阻害要因」として報告されているか
・これまでに発表されているBarriers Scaleの信頼性・妥当性の報告


・Barriers Scaleを使った研究対象者の概要(対象者、対象者数、回答率、国)


EBPの阻害・促進要因も、個人・組織・社会といったいくつかの段階やステークホルダーの関与があり、近年はCFIR(https://cfirguide.org/)をはじめとした包括的なフレームワークも公表されています.Barriers Scaleの調査結果から知りたい情報を得られるかは、目的によって異なりますが、とくに個人特性に関する要因は、過去の動向を把握しておくうえではBarriers Scaleの調査結果を調べてみておくことは一案だと思います.


例えば"The main barriers to research utilization"のセクションでは、次のように述べられていました.

The items 'there is insufficient time on the job to implement new ideas,' 'the nurse does not have time to read research,' 'the nurse does not have enough authority to change patient care procedures,' 'the statistical analyses are not understandable,' together with 'the relevant literature is not compiled in one place' were most frequently reported among the top ten barriers (Table 1). 

また、' together with 'the relevant literature is not compiled in one place'は、例えばガイドラインの普及によって時代とともに変化する可能性もありますが、臨床分野によっては課題として残っているともいえます.


なお、Barriers Scaleの研究では、阻害すると答えた人が多い要因順に結果が報告されることがしばしばありますが、これも、研究対象者がどのような集団かによって、順位は変動することが考えられるため、結果の解釈には注意が必要です.


References.


【関連記事】[EBP尺度の紹介] BARRIERS SCALE (日本語訳あり)(2020.07.14 07:00)

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