この調査は、purposive sampling strategyに沿って、様々な背景をもつ23人のAPNsが対象となり、データは、APNsへのインタビュー、APNsの活動に関わるFLNsや多職種、nurse managersへのインタビュー、研究者によるAPNsの臨床場面の観察(non-participant observation)によって収集されています.(なおこの論文は、Gerrishらが2011年に発表した論文で述べられている研究の一部であるため、調査方法は同じです.関連論文を合わせて読むと理解が深まります.)
この調査から、APNsがFLNsにどのように影響しているのか、3つの次元(ただし排他的ではない)でモデル化されました.
• Direct - Indirect:APNsの介入がケアの対象者にdirectか、FLNsを通してindirectか
• Immediate - Delayed:FLNsへの教育的な関わりで即時的に・直接的に影響を及ぼすのか、FLNsが学んでから実践するまでに時間がかかるのか
• Intentional - Unintentional:意図的な働きかけによる影響なのか、意図しない働きかけによる影響なのか.
この論文で"impact"として捉えられているのは、必ずしもpositiveなことだけではないようで、例えば、"unintentional impact"は、忙しい臨床場面において、APNsがFLNsの代わりに対応することで、一時的にFLNsの作業不可を直接軽減できたとしても、それ以降、FLNsがそのケアの責任を負えない場合があげられていました.
また、FLNsのEBPを促すAPNsの影響については、①developing competence, ②empowering FLNs、③improving care provided by FLNsがあげられました.
イギリスと日本では専門職を取り巻く文化に異なる側面もあるとは思いますが、日本でも、例えばFLNsと共に病棟で一緒に働いていたり、FLNsから実践について専門的な相談を受ける立場にあるAPNsの方々は、この論文で報告されているような実践を実際に行っていらっしゃるのではないでしょうか.
また、このような内容は、EBPかどうかに関わらず臨床実践であれば同様かもしれませんが、EBPを目的として行われたcase studyの知見であるというところに、非常に意味のある研究のように思います.
Reference.
McDonnell A, Gerrish K, Kirshbaum MN, Nolan M, Tod A, Guillaume L. The perceived impact of advanced practice nurses (APNs) on promoting evidence-based practice amongst frontline nurses: findings from a collective case study. Journal of Research in Nursing. 2013;18(4):368-383. https://doi.org/10.1177/1744987112446241
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