EBPの阻害・促進要因の研究はImplementation Scienceの分野で進んできていますが、Long term careにおけるエビデンスに基づくガイドラインの実装を阻害・促進する要因の検討は、まだ発展途上にあります.このような中、McArthur Cらは"A. Barriers and facilitators to implementing evidence-based guidelines in long-term care: a qualitative evidence synthesis" という論文を発表しました(McArthur C, et al., 2021).
この論文では、次のようなことが明らかとなりました.
・2004年~2020年に出版された2680 articlesのうち、33 articlesが今回のレビューの対象となった
・阻害要因:時間の制約、不十分な人員配置、コスト・リソース不足、チームワーク・組織のサポート不足・促進要因:ファシリテーター(リーダーシップ、チャンピオン)、適切に設計された戦略、プロトコル・リソース、時間など
抽出された阻害・促進要因は、抽象度の高い表現でみると、すでに明らかになっている、EBP、あるいは、エビデンスに基づくガイドラインの実装の阻害・促進要因と大きな違いはないように思われます.
ただしLong term careという文脈で、かつ、エビデンスに基づくガイドラインの実装という観点では、例えば多くのガイドラインが整備されリソースがある程度整っている急性期病院とは、促進・障壁に関与するステークホルダーも異なります.
Implementation Scienceの分野は、理論や研究方法論の開発が急速に進んでいます.分野に依存する文脈(clinical setting)との相違点を評価しながら、Evidence-based interventionの普及のためのさらなる方略が求められているといえるでしょう.
Reference.
・McArthur C, et al. A. Barriers and facilitators to implementing evidence-based guidelines in long-term care: a qualitative evidence synthesis. Implement Sci. 2021 Jul 9;16(1):70. doi: 10.1186/s13012-021-01140-0.
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