週刊医学界新聞の連載「看護師のギモンに応える!エビデンスの使い方・広め方 」(看護号)の第8回は『対象者の人生と向き合うEBPのプロセス』です.この回では、高齢者ケア施設での取り組みを、エビデンスを調べながらよりよい取り組みへと整えていく過程で、入居者とどのように向き合われていたのかが紹介されています.
この回では「エンディングノートの配布」について取り上げられています.これはPICOの"I"(=intervention)に相当するものですが、ケアの"I"を考えるときに手術や薬物療法とは少し性質が異なるのは、「〇〇をすれば」の「〇〇」というラベリングされた介入の名称に引っ張られてしまわないよう、注意が必要な点です.あくまでも「〇〇」は行われるケアの総称であって、効果として発揮されるために必要な過程やケアの構成要素が重要です.日々の実践の中でも、〇〇を行うことが目的になっていて、手段と目的が逆転しがちなことはないでしょうか.
また、身体への侵襲が高い手術や薬物療法と比べて、侵襲性の低いケアでは、対象者の不利益(有害事象)が客観的にわかりにくい部分もあるかもしれません.しかし、記事にもあるように「良いと思っている既存の取り組みも,マイナス面があるのではないかという意識を持つ」という非常に重要な点に、あらためて気づかされます.
Reference.
松本佐知子 (執筆), 友滝愛(監修). 看護師のギモンに応える!エビデンスの使い方・広め方 第8回 対象者の人生と向き合うEBPのプロセス. 週刊医学界新聞(看護号). 第3446号. 2021年11月22日 https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2021/3446_06
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