EBMにまつわるピラミッド:New evidence pyramid(2016)

この記事では、EBMにまつわるピラミッドとして、New evidence pyramid (Murad, et al. 2016)を紹介します.


EBMでピラミッドといえば、ランダム化比較試験(Randomized controlled trial, RCT)のメタアナリシスを最上位としたエビデンスのヒエラルキーが有名で、古くから知られるピラミッドかと思います.これには、次のような特徴があると考えられます.

  • バイアスをどの程度制御できる研究デザインか?が評価の軸となる
  • 1つの研究結果だけではなく、複数の研究結果を統計学的に統合する
  • あくまでも、各研究の「研究デザイン」をベースにしているため、それ以外の要素(実際に行われた研究自体の研究の質)を評価するという観点は、このヒエラルキーでは考慮されていない

このピラミッドは、たしかに”研究デザインの強み・弱み”をぱっと把握するにはわかりやすいのですが、実際には次のような状況が起こりえます.

  • 質の低いRCT (poor RCTs)よりも、よくデザインされた質の高い研究(well-designed observational studies)のほうが、エビデンスとしての質が高い
  • いくらメタアナリシスであっても、poor RCTsを統合した結果は、エビデンスとしての質は低い


このように、EBM/EBPの"e"となるエビデンスは、残念ながら「研究結果であれば何でもよい」「RCTなら素晴らしい」のように単純に整理することができません.そこで、現実に起こりうることを反映して解釈が可能となるピラミッドとして、Muradらは2016年に”New evidence pyramid”を紹介しました.

この記事では、次の3つのピラミッドが紹介されています.

A. The Traditional Pyramid
B. Revising the pyramid: (1) lines separating the study designs become wavy (Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation) (2) systematic reviews are chopped off’ the pyramid.
C. The revised pyramid: systematic reviews are a lens through which evidence is viewed (applied).


「質の低いRCTもあれば、質の高い観察研究もある」というのは、研究デザインやバイアスが研究結果(曝露効果の推定値)にどのように影響するのか?というのを理解していないと、ピンとこないかもしれません.ということをふまえて、これらの図を使う側の人も、ディスカッションしたい相手のレディネスにあわせて、上手く活用することが求められるかもしれません.




Reference.


一方で、この


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