EBMの概念が提唱された1990年代より以前は,看護分野では「Research Utilization」という,研究成果を臨床で取り入れていくという概念が用いられていました.これは,日本でも「研究成果の活用」という言葉で知られています.
参考:医学中央雑誌を用いて,文献のタイトルに「研究成果 and (活用 or 利活用)」が含まれる文献は172件で,このうち原著論文は29件でした.(2023/12/2時点)
この投稿では,研究成果の活用に関する研究の書誌情報を掲載します.なお,文献のいくつかについては,研究で明らかになった知見の一部を引用紹介します.
2023年
- 奥村智志, 小久保 知由起.精神科看護師の研究成果活用に対する意識に影響する要因.看護科学研究.2023;21:41-49.
2022年
- 小久保 知由起, 奥村 智志.精神科看護実践における看護師の研究成果活用に関する全国調査.日本看護医療学会雑誌.2022;24(1):28-36. https://doi.org/10.11477/mf.7009200335
2020年
- 平谷 優子, 伊瀬 薫.小児看護実践における研究成果活用の現状と促進に対する看護師の認識.日本小児看護学会誌.2020;29:184-191. https://doi.org/10.20625/jschn.29_184
- 奥村 智志, 小久保 知由起.精神科看護師の研究成果活用に関する認識.日本看護学会論文集: 精神看護.2020;50:70-73.
2017年
- 岡本 玲子, 関 裕子, 合田 加代子, 岩本 里織, 小出 恵子, 芳我 ちより, 福川 京子.保健師の研究成果活用力尺度の開発.日本地域看護学会誌.2017;20(1):13-21. https://doi.org/10.20746/jachn.20.1_13
2015年
- 亀岡 智美, 舟島 なをみ, 中山 登志子. 看護師の研究成果活用力に関係する特性の探索─ 看護継続教育への示唆獲得に向けて ─. 日本看護学教育学会誌. 2015;25(2):29-40. https://doi.org/10.51035/jane.25.2_29
対象:病院に就業する看護師
対象者数:860人中447人(回答率52.0%),有効回答数403人
調査票:研究成果活用力自己評価尺度―臨床看護師用―
対象者の属性
▸ 看護実践への研究成果をよく活用している/ときどき活用している:52.2%
▸ 研究成果活用を意識する機会があった:63.7%
▸ 看護師になってから研究成果活用に関する学習経験があった:63.3%
▸ 職場での研究活動に対する積極性:27.0%研究成果活用自己評価尺度の得点に関連した要因:職場での研究活動に対する積極性,院内教育の充実度,研究成果活用に関する看護師になってからの学習経験,年間学会参加回数,看護研究に関する知識,専門誌の閲読
2014年
- 真壁 玲子, 田中 久美子, 佐藤 郁美, 星野 聡子, 保坂 ルミ, 菅原 よしえ, 松田 芳美.がん看護実践における研究成果活用の現状と関連要因 がん診療連携拠点病院看護職への調査から.がん看護.2014;19(1):75-81.
2013年
- 杉山 直子, 中神 美保, 後 薫, 高松 美智子, 武田 芳枝, 広島市立広島市民病院看護部看護研究委員会.看護研究に取り組む4年目看護師の教育的効果 研究の影響・研究理解度・研究成果活用を評価して.広島市立広島市民病院医誌.2013;29(1):97-103.
2012年
- 亀岡 智美, 舟島 なをみ, 野本 百合子, 中山 登志子.「研究成果活用力自己評価尺度 臨床看護師用」の開発.日本看護科学会誌.021;32(4):12-21. https://doi.org/10.5630/jans.32.4_12
2011年
- 宮首 由美子, 亀岡 智美.認定看護師の研究成果活用の現状と学習状況との関係.国立看護大学校研究紀要.2011;10(1):31-38.https://doi.org/10.34514/00000133
2010年
- 遠藤 良仁, 布施 淳子.看護管理者が認識する研究成果活用を推進する組織的支援の現状と阻害要因の検討.日本看護研究学会雑誌.2010;33(2):61-68. https://doi.org/10.15065/jjsnr.20091119004
内 正子, 三宅 玉恵, 三宅 一代, 太田 千寿, 永瀬 由紀子, 片田 範子. 【translational researchとしての小児の疼痛緩和方法の開発】研究成果を実践に根付かせるためのCNSを活用した臨床-研究連携システムの構築. 看護研究. 2009;42(6):459-469. https://doi.org/10.11477/mf.1681100396
2009年
- 遠藤 良仁, 浅沼 優子, 山内 一史, 伊藤 收.病棟看護管理者における科学的根拠の情報収集の実態および研究成果活用の阻害要因に関する認識との関連.岩手県立大学看護学部紀要.2009;11:1-12.https://iwate-pu.repo.nii.ac.jp/records/1782
- 調査内容の例
▸ 臨床判断の根拠への疑問の頻度(よくある/たまにある/あまりない/ほとんどない)
▸ 科学的根拠の情報源:誰に・何に、どの程度の頻度で尋ねている・参照しているかを回答
▸ 論文検索データベースの認知(知っている/知らない)、論文検索データベースの利用経験(経験あり/経験なし)、職場における論文検索データベースの利用環境(利用可能/利用不可能/不明)
▸ 病棟看護管理者が認識する看護師の研究成果活用の阻害要因について、「わからない」「全くあてはまらない」「少しあてはまる」「中程度当てはまる」「強くあてはまる」の回答
2007年
小笠原 由美子, 今野 市子, 深瀬 つや子, 齋藤 智嘉子, 田瀬 裕子, 遠藤 恵子.院内看護研究成果活用の実態と支援体制.日本看護学会論文集: 看護管理.2007;37:382-384.
2005年
- 岩根 夕美子, 会澤 百合子.看護研究成果活用するための要因分析 研究者の実態調査から.日本看護学会論文集: 看護総合.2005;36:61-63.
- 野中 理佳, 森山 由美, 横手 美智子, 荒木 千代子, 池上 淳子, 池田 由美子, 吉井 美鈴.研究成果活用と活用時の阻害因子と促進因子 研究経験1回と4回以上の看護師による比較日本看護学会論文集: 看護管理.2005;35:119-121.
2004年
- 恵下 妙子, 清水 美保子, 小園 由味恵, 栗原 富江, 久保 美智子, 山本 洋子.当院看護職の看護研究成果活用に関する意識調査.広島市立広島市民病院医誌.2004;20(1):99-105.
清村 紀子, 西阪 和子.臨床での研究成果活用に関する要因分析.日本看護研究学会雑誌.2004;27(1):59-72. https://doi.org/10.15065/jjsnr.20031128003
調査期間:2001年7~8月
調査票の回収率80.6%(n=307)、有効回答数 n=306
対象:福岡の大学病院(1施設)で研究協力の承諾が得られた381人
個人要因・環境的要因について検討
▸ 個人要因の例:年齢、看護師経験年数、職位、一般教育課程、看護基礎教育課程、臨床での研究経験、基礎教育課程での研究経験、論文閲読頻度、論文に対するイメージ、論文内容の理解
▸ 環境的要因の例:研究的交流・コミュニケーション、既存研究の質、時間的要素、上司の支援、業務上の権限、学術的資源、組織のサポート
野本 百合子, 舟島 なをみ, 定廣 和香子.看護実践場面における研究成果活用の概念化 病院に就業する看護師の経験を通して.看護教育学研究.2004;13(1):23-36. https://doi.org/10.19015/jasne.13.1_23
上村 みどり, 渡辺 貴子, 中山 美子.看護研究成果活用の発展をめざして 研究成果活用の阻害要因と研究への取組意識の問題点を探る.逓信医学.2004;56(2):113-116.
2002年
- 保科 英子, 古米 照恵, 中原 あき子, 石黒 則子, 足羽 孝子, 西本 仁美, 古森 天地子.院内看護研究成果の看護実践への活用の実態と支援体制.臨床看護研究.2002;9(1):3-10.
- 尾形 直美, 伊藤 万亀子, 加美山 幸, 鈴木 千恵子, 松浦 由紀子, 田中 マユ美, 松井 睦子.総合病院看護職員における研究成果活用の実態調査.日本看護学会論文集: 看護管理.2002;32:201-203.
- 杉山 直子, 恵下 妙子, 桐山 里美, 砂田 ミヤコ, 田辺 和枝, 森山 るみ子, 空間 由美子.3年目看護研究者が自己の研究成果を活用する促進因子 1年後の面接調査の質的分析.日本看護学会論文集: 看護管理.2002;32:198-200.
中谷 啓子.「看護研究の方法」の授業における学生の学習成果の明確化 看護実践における研究成果活用を目指して.東海大学医療技術短期大学総合看護研究施設年報.2002;11:1-11.
1999年
- 相川 みづ江, 田中 かつみ, 田川 真知子, 山下 博子, 木谷 公代, 冨永 由美, 片倉 千鶴子, 岡村 清美, 林 春美, 五十嵐 和子.看護研究成果の実践での活用に関する調査 過去5年間の院内研究報告後の実態から.看護実践の科学.1999;24(9):61-65.
1995年
- 定広 和香子.看護ケアの効果に関する研究における研究成果の活用と展望.看護教育学研究.1994;3(2):20-25.
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