看護学生を対象としたEBPに関する研究は増加傾向にありますが、どのような授業カリキュラムで教育の機会を提供すれば学習効果があがるのかは、十分なエビデンスがありません.
このような中、Scurlock-Evans Lら(2017)は、イギリスのある大学に在籍する看護学生56人を対象に行われた「EBPが組み込まれたカリキュラム」と「モジュールベースのカリキュラム」の2つの授業について、看護学生のS-EBPQを比較した研究を発表しました.
S-EBPQは、「EBPの頻度」「態度」「エビデンスの入手や評価に関する知識スキル」「エビデンスを適用したり共有する知識スキル」の4つのドメインが含まれる、EBPを自己評価する尺度の学生版です.
この研究では、
- 「態度」は全ての学年において肯定的であったこと
- 「EBPの頻度」「エビデンスの入手や評価に関する知識スキル」「エビデンスを適用したり共有する知識スキル」は、どちらのカリキュラムでも大幅に改善がみられたこと
- 2つのカリキュラムで、各サブスケールに統計学的に有意な改善はみられなかったこと
- ただし、S-EBPQのサブスケールのスコアは、カリキュラムによって、変化の方向や速さに違いがみられ、とくに2年次にスコアが落ち込んでいたこと
- 「EBPが組み込まれたカリキュラム」と「モジュールベースのカリキュラム」のどちらのカリキュラムであっても、最終学年のスコアにはほとんど影響がないことが示されましたが、授業のコースの配置などは慎重な検討が必要であること
ことが明らかになりました.
EBPの教育には複合的で多面的な要素が含まれるため、体系的な教育プログラムの構築とその評価は容易ではありませんが、EBPに取り組むことができる人材育成の基礎として、看護基礎教育で求められる能力の獲得は今後さらに重要になると考えられます.
Reference.
Scurlock-Evans L, et al. To embed or not to embed? A longitudinal study exploring the impact of curriculum design on the evidence-based practice profiles of UK pre-registration nursing students. Nurse Educ Today. 2017;58:12-18. doi: 10.1016/j.nedt.2017.07.011.
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