2022.09.11 03:30Clinical usefulness of library and information services in Japan (2018)Sakaiらは2018年に, 日本の医師・研修医・看護師を対象に、臨床のどのような場面で情報を検索するのか、その頻度や媒体などを調査した結果を報告しました(Sakai et al, 2018).文献検索はEBPのStep 2に位置づけられ、卒前教育でも文献検索などはカリキュラムに組まれています. しかし実際に臨床に出てからいつ・どのようなアクションを起こしているのか、日本国内での報告は限られています.この論文では、次のようなことが報告されました.・有効回答数 n=598(内訳:医師 n=275, 研修医 n=55, 看護師 n=268)・検索する場所で看護師が最も多いのは図書室(64.9%)・情報源の利用頻度で看護師が多い上位5つは、①日本語の書籍(紙...
2022.09.02 12:00Core Competencies in Evidence-Based Practice for Health Professionals (2018)Albarqouni らは2018年に,EBPのコアコンピテンシーを発表しました (Albarqouni, et al. 2018).この研究では、文献レビューとデルファイ調査で、EBPのコアコンピテンシーが特定されました.文献レビューでは、83のEBP educational intervention studies, 86のunique EBP competenciesが参照されています.論文には、以下の内容が含まれています.・コアコンピテンシーの開発プロセス・コアコンピテンシーの一覧 Table 2 "Final Set of EBP Core Competencies Grouped Into the Main EBP ...
2021.08.14 03:00[EBP教育介入研究のレビュー] EBP educational intervention studies: a SR of what is taught and ... (2018)EBP教育介入研究では、EBMの5 stepsのどれか(または全て)が介入要素として含まれています.どのstepに焦点があてられるかは、研究の目的や対象者によって異なりますが、EBP教育介入で何が教えられているかをレビューした結果が2018年に発表されました (Albarqouni L, et al., 2018).この論文では、2017年5月にWeb of Scienceを使った文献検索の結果が報告されました.・対象となったのは85研究・最も多く含まれたのは文献の批判的吟味(Step3)で、続いて文献検索(Step 2)、臨床疑問の定式化(Step 1)・Step 1-3と比べると、適用(Step4)や評価(Step 5)は少ない・EBMの全てのst...
2021.07.12 23:00論文|看護教育者のEBP実装の経験 (2018)EBP教育の充実には、看護教育に携わる教育者自身がEBPを理解していることが基盤となります. 2018年に、南アフリカ大学のMthiyane先生らによる "The experiences of nurse educators in implementing evidence-based practice in teaching and learning" という論文が発表されました (Mthiyane, et al. 2018).この論文では、12人の nursing educatorを対象に2017年に実施された半構造化面接の研究結果が報告されました.・研究の目的:教育・学習でのEBP実装における看護教育者の経験を検証することでした- Improvi...
2021.03.24 23:00[看護師の調査] アメリカ看護師のEBPコンピテンシーに関する調査(2018)Melnykらは2018年に、アメリカの看護師約2300人から回答を得たEBPのコンピテンシーに対する調査結果を発表しました(Melnyk et al., 2018).これまでの先行研究では、看護師はEBPに対して肯定的であるものの、EBPの知識スキルが不足していると感じている傾向があり、EBP教育の先駆的な取り組みが行われているアメリカ以外の報告が多くありました.そのような中で、近年のアメリカの報告は、EBP教育がまだ遅れている国にも重要な知見です.この調査結果では、次のようなことが報告されました.・アメリカの19の病院等に所属する看護師2,344人から、オンラインアンケートの回答を得た・調査票には、demographic questions/ si...
2020.09.23 23:00[ドイツ語のIS尺度のレビュー] German language questionnaires for assessing implementation constructs and ...Evidence-based practiceやエビデンスの実装(implementation)に関するシステマティックレビューはすでに多く発表されていますが、その多くは英語で発表された論文が対象となっています.とくに非英語圏で利用可能な尺度にはどのようなものがあるのかを体系的に報告した研究は、まだ限られています.このような中、Kienら(2018)は、implementationに関する評価尺度のうち、ドイツ語で利用可能なものを体系的にレビューした結果を報告しました.この論文では、・implementation scienceの構成要素を評価可能なドイツ語の31の測定尺度が特定されたこと・英語で発表されていない論文は、既存のシステマティックレビューか...
2020.08.31 23:00[看護学生の調査] Korean Nursing Students' Acquisition of EBP and Critical Thinking SkillsEBPではcritical thinkingの思考が求められ、日本でも臨床看護師のEBPとcritical thinkingの関連を検討する研究が行われています(二見ら, 2019).Critical thinkingの能力を高めることは、看護師資格を取得する前の卒前教育においても、非常に重要であると考えられます.看護学生のEBPとcritical thinkingに関する研究は、日本ではまだあまり行われていませんが(2020年8月時点)、韓国のKim SSら(2018)の研究結果が参考になるかもしれません.この研究は、韓国のソウル、および、大都市圏の4つのnursing schoolsの看護学生266人を対象として行われました.その結果、・23歳以上...
2020.08.27 22:30[EBPのリーダーシップ研究] A review of the role of nurse leadership in promoting and sustaining EBPMonica Bianchi, et al. A review of the role of nurse leadership in promoting and sustaining evidence-based practice. J Nurs Manag. 2018;26(8):918-932. doi: 10.1111/jonm.12638.
2020.08.26 22:00[学生版EBP尺度の紹介] Student Evidence-Based Practice Questionnaire (S-EBPQ)学生を対象としたEBPの自己評価尺度として、Upton Pら(2016)らが開発した Student Evidence-Based Practice Questionnaire (S-EBPQ) が発表されています.オリジナルの言語:英語Upton P, et al. Development of the Student Evidence-based Practice Questionnaire (S-EBPQ) Nurse Educ Today.2016;37:38-44. doi: 10.1016/j.nedt.2015.11.010. Cross-cultural validityの論文オーストラリアでの検証Beccaria L, et...
2020.07.27 22:00[EBP尺度の比較] How to choose an evidence-based medicine knowledge test for medical students? ...2018年に出版されたBMC Med Educ.からの論文.Ivan Buljan, et al. How to choose an evidence-based medicine knowledge test for medical students? Comparison of three knowledge measures. BMC Med Educ. 2018;18(1):290. doi: 10.1186/s12909-018-1391-z.EBP教育介入の研究でアウトカムとして使われることが多い代表的な尺度、Fresno-test, Berlin-test、ACE testについて、それぞれpre-post testでスコアが...
2020.07.08 22:00本の紹介 | 看護実践の質を改善するためのEBPガイドブック:アウトカムを向上させ現場を変えていくために他者と協働して、あるいは多職種と連携しながら、実践の仕組みを作っていく過程では、「EBPに関心はあるけれど、組織としてどのように取り組んでいけばいいのだろうか…」という悩みが尽きません.このように「組織としてEBPプロジェクトに取り組みたい」といった場合のガイドとなるのが、以下の書籍です.アイオワ大学病院看護研究・EBP・質改善部門 (編集), 松岡千代, 深堀浩樹, 酒井郁子 (翻訳). 看護実践の質を改善するためのEBPガイドブック:アウトカムを向上させ現場を変えていくために. ミネルヴァ書房. 2018
2020.07.08 22:00[本の紹介] Evidence-Based Practice in Nursing & Healthcare: A Guide to Best PracticeMelnyk BM, et al. Evidence-Based Practice in Nursing & Healthcare: A Guide to Best Practice. (4th edition) . 2018EBP研究者として論文等を多く執筆されているMelnyk BM 先生の著書です.組織でEBPに取り組むことを念頭に、組織変革の観点から事例も用いながらEBPのプロセスを示している、EBPの入門書といえるでしょう. EBPの実践者にもEBPの研究者にもおススメしたい1冊です.